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「大学生の就労支援」2:発達障害のグレーゾーンって何?相談や支援はあるの?
発達障害をもつ大学生の就職者の割合は、全大学生の就職者の割合と比べると、かなり低い数値を示します。
障害のある大学生すべてと比べても低い数値です。このため、発達障害者の特性を踏まえた就労支援が求められます。
また、同じ発達障害者でも、確定診断のないグレーゾーンの方もいます。
診断がないために障害者手帳を持てず、十分な医療・福祉の支援が得られていない状況です。
そこで当記事では、発達障害のある学生の現状を明らかにしたのち、発達障害グレーゾーンの方の相談先や支援機関を紹介します。
日本学生支援機構(令和4年度調査)によると、障害学生数は49,672人(全学生数3,246,852人)で、
全学生中、障害学生の割合は1.53%となります。その数は年々増加傾向にあります。
※ここでの「学生数」とは、大学・短期大学・高等専門学校の学生を合算した数です。
障害学生の中で、発達障害のある学生は10,288人で、障害学生の20.7%を占めます。
精神障害のある学生は15,787人で、障害学生の31.8%を占めています。
参照元:日本学生支援機構 「令和4年度 大学、短期大学及び高等専門学校における障害のある学生の修学支援に関する実態調査結果報告書」
日本学生支援機構(令和4年度調査)によると…
・全大学生では、就職した人の割合は75%、進学した人の割合は12%、ニートの割合は9%です。
・視覚や嗅覚、精神など、障害のある大学生すべてでは、就職した人の割合は55%、進学した人の割合は10%、ニートの割合は17%です。
・発達障害の大学生だけでみると、就職した人の割合は42%、進学した人の割合は11%、ニートの割合は24%です。
※厚生労働省によると、「ニート」とは、15歳から34歳の若者で、仕事につかず、家事も通学もしていない人を意味します。
年々増えている障害のある大学生の割合は全大学生の1.6%です。障害のある大学生の内、21.0%が発達障害の大学生です。
発達障害の大学生の内、卒業生に占める就職者の割合は42%で、全大学生の75%と比べるとかなり低く、
障害のある大学生と比べても低い数値を示しています。
また、発達障害の大学生のニートの割合は24%を示し、全大学生の9%と比べると3倍近くの数値で、
障害のある大学生と比べても高い数値を示しています。
全大学生や障害のある大学生と就職者の割合を比べてみると、発達障害の大学生は、
その障害特性のために、就職活動に多くの困難さを抱えていると推測されます。
発達障害の大学生の就職者の割合が、障害のある大学生すべてと比べても低いというのは、
発達障害者の特性は、他の障害者の特性以上に、就職により大きな影響を与えているともいえます。
また、「ニート」の割合を比べてみても、発達障害の大学生のニートの割合は高く、
在学時に卒業後の展望を描けず、準備不足のまま卒業したことが推測できます。
そのため、発達障害の大学生の就職・就労にあたり、在学時から障害特性をふまえた独自の専門的支援が必要と考えられます。
参照元:日本学生支援機構 「令和4年度 大学、短期大学及び高等専門学校における障害のある学生の修学支援に関する実態調査結果報告書」
参照元:文部科学省 「令和4年度 学校基本調査確報報道発表資料」
https://www.mext.go.jp/content/20221221-mxt_chousa01-000024177_001.pdf
発達障害の大学生が置かれた現状として、3通りのパターンが想定されます。
A)子どもの頃に発達障害の診断を受け、すでに医療や福祉の支援を受けている方。
B)大学在学中に発達障害を疑い、医師から発達障害の診断を受けている方。
C)大学在学中に発達障害を疑い、医師の診察を受けたが、発達障害の診断を受けられなかった方。いわゆるグレーゾーンの方。
Aの方は、子どもの頃から障害者手帳を所持していて、大学入学前から医療・福祉のサービスや支援を受けています。
大学在学時にも、就職に向けて就労移行支援などが受けられる状況です。また、自身の障害特性の理解、障害受容の程度も進んでいます。
一方、BとCの人は、近年「大人の発達障害」と呼ばれます。大人の発達障害とは、進学や就職により、発達障害にともなう困難に直面して支援を必要としている状態をいいます。
大人の発達障害を疑う場合、専門医の検査を受けることになります。その結果、発達障害と診断されたなら、障害者手帳を取得でき、さまざまな福祉サービスを利用できます。
しかし、診断されなかった場合には、障害者手帳を取得することができず、福祉サービス利用に制限がかかり、十分な支援を得にくくなります。
発達障害を疑う症状がありながらも、発達障害の診断がつかない人たちは「発達障害のグレーゾーン」と呼ばれます。発達障害の診断基準をいくつか満たしていても、すべてを満たしていないために発達障害の診断を受けていない人たちです。
また、グレーゾーンだからといって決して症状が軽いわけではありません。このため、確定診断を受けた方と同様に、医療・福祉の両面から支援を受ける必要があります。
発達障害の診断がないため、グレーゾーンの人は障害者手帳を申請できません。ただし、二次障害としてうつ病や不安障害などの精神疾患を発症した場合には、その障害により障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)を申請できる場合があります。詳細については医療機関などにご相談ください。
グレーゾーンの人は、医師の意見書(診断書)があれば、就労移行支援などの障害福祉サービスを受けられる可能性があります。自治体ごとに判断が異なるため、詳しくは市区町村の関連窓口にお尋ねください。
進学や就職の場面に際して、発達障害を疑い始めているなら、まずは相談することをお勧めします。診断がなくても利用できる相談機関を以下に紹介します。
[障害関連の相談と支援]
・発達障害者支援センター
発達障害に関する全般的な相談ができます。
適切な医療機関や就労支援機関の紹介もします。
・障害者就業・生活支援センター(就ぽつ)
就労、生活を問わずどちらも全般的な相談が可能です。
※上記のほか、ご自身の大学の保健管理センターでも相談可能です。
[就労関連の相談と支援]
・ハローワーク
大人の発達障害の人に向けた就労支援を行っています。
職業適性に関する相談やキャリアカウンセリングなども実施しています。
・就労移行支援事業所
一般企業への就職を目指す障害のある方に就労支援サービスを提供します。
グレーゾーンであっても、「医師の意見書」があれば利用できる可能性があります。
発達障害の大学生の就職者の割合は、全大学生と比べるとかなり低い数値を示しています。
障害のある大学生すべてと比べても低い数値です。
また、学生の中には発達障害を疑うグレーゾーンの方も少なからずおられます。
確定診断のある学生と同様に、医療と福祉、両面からの支援が必要です。
障害者総合支援法による就労移行支援は、発達障害グレーソーンの方でも利用できる可能性があります。
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