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「大学生の就労支援」1:卒業後はどうなの?大学生でも就労移行支援は使える?
障害のある学生数(大学・短期大学・高等専門学校)は近年増加傾向にあります。
障害学生数は49,672人(令和4年時点)で、割合としては全学生数の1.53%となります。
当記事では、大学卒業後の就労事情を概観した後、発達障害のある大学生の就労支援について解説します。
参照元:日本学生支援機構 障害のある学生の修学支援に関する実態調査
https://www.jasso.go.jp/statistics/gakusei_shogai_syugaku/index.html
■文部科学省の「平成30年度学校基本調査について」によると、大学卒業後にニートになる人の割合は、全体の内の7.0%です。
全卒業者56万5,436人の内の4万人ほどになります。
参照元:文部科学省 学校基本調査-平成30年度結果の概要-
https://www.mext.go.jp/component/b_menu/other/__icsFiles/afieldfile/2018/12/25/1407449_1.pdf
※厚生労働省によると、「ニート」とは、15歳から34歳の若者で、仕事に就かず、家事も通学もしていない人を意味します。
■厚生労働省の「新規学卒就職者の離職状況(令和2年3月卒業者)」によると、就職後3年以内の離職率は、新規大学卒就職者が32.3%となっています。
参照元:厚生労働者 新規学卒就職者の離職状況(令和2年3月卒業者)
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177553_00006.html
上記のデータは障害のある大学生に特定したものではなく、大学生全体の数字です。
「コミュニケーションが苦手」「自分に合う仕事がわからない」などの発達障害者が抱える問題をふまえると、発達障害者のニートの割合や3年以内の離職率は、大学生全体の数字を上回ることが推測されます。
発達障害者の就労上の課題は、大きく分けると「コミュニケーション能力」と「仕事に対する適応力」のふたつです。
そのために、在学中からの専門的支援が求められます。
具体的には「障害特性の理解」「コミュニケーションスキルの改善」「適職の発見」「職業準備性の向上」などです。
※職業準備性とは、健康管理や生活習慣、対人スキル、作業遂行能力、職業適性という、働く上で求められる基礎的な資質や能力のことです。
また就職後には、障害のある人が、就労先の労働環境や業務内容に適応するための支援が必要となる場合があります。
例えば、職場で生じた悩み事やトラブルに対して、障害者本人と会社との間に入って相談や助言などをするサポートです。
大学在学中であるなら、大学内の相談・支援室からのサポートを期待したいところですが、現状、障害者への相談や支援の対応力は大学によりさまざまです。
そこで、発達障害に配慮した就労支援を在学中から始めるために、学外機関である「ハローワーク」や「地域障害者職業センター」「就労移行支援事業所」などとの連携が有効となります。
■ハローワークでは、就職に関する個別相談や情報提供、面接指導、模擬面接などを行います。
※相談窓口には、障害者専門の相談員が配置されています。
■地域障害者職業センターでは、障害者一人一人のニーズに応じて、職業評価、職業指導、職業準備訓練及び職場適応援助などを行います。
■就労移行支援事業所では、一般就労などへの移行に向けて、事業所内や企業での作業や実習、適性に合う職場探しの支援などを行います。
ハローワークや地域障害者職業センターとも連携します。
[支援例]基礎体力向上、適性や課題の把握、職業習慣の確立、職場見学・実習、求職活動など。
参照元:障害者職業総合センター 発達障害のある学生の就労支援に向けて
https://www.nivr.jeed.go.jp/research/kyouzai/kyouzai77.html
一方、就職後の職場における支援も大切です。地域障害者職業センターや就労移行支援事業所では、職場適応支援や職場定着支援、職場適応援助者(ジョブコーチ)支援を実施しています。
公共機関であるハローワークは仕事を探している人なら誰でも利用できます。
地域障害者職業センターは障害者であれば利用可能です。
それでは、就労移行支援事業所はどうなのでしょう、大学生でも利用できるのでしょうか?
■就労移行支援の基本的な利用条件は以下の通りです。
・年齢が18歳以上65歳未満であること
・一般就職を希望する人
・身体障害、知的障害、精神障害、発達障害、難病のある人
※市区町村または相談支援事業所を通じて申請します。その後、サービス事業者と利用契約を結びます。
■大学在宅中でも就労移行支援を利用できます。ただし、利用するには条件があります。
厚生労働省によると、以下の条件をいずれも満たす場合に利用可能となります。
①大学や地域における就労移行支援機関等による就労支援の実施が見込めない場合、または困難である場合
②大学卒業年度であって、卒業に必要な単位取得が見込まれており、就労移行支援の利用に支障がない者
③本人が就労移行支援の利用を希望し、就労移行支援の利用により効果的かつ確実に就職につなげることが可能であると市町村が判断した場合
引用元:厚生労働省 就労系障害福祉サービスについて(就労移行支援の大学在学中の利用)
https://qa-fukushi.com/hoshu/就労系障害福祉サービスについて-就労移行支援の/
上記のとおり、基本的には卒業年度で卒業見込みのある大学生は就労移行支援を利用することが可能です。
※詳しくは市区町村の障害関連の窓口にお尋ねください。
大学生全体でも、「卒業後にニートになる割合」や「就職後3年で離職する割合」は見過ごすことのできない数値を示しています。
障害のある大学生、特に発達障害のある大学生は、その特性からさらに心配される数値が推測されます。
そこで、当記事で紹介したように、在学時からの専門的な支援が求められます。
就労移行支援サービスは、障害のある大学生(卒業年度で卒業見込みあり)なら在学中から利用可能です。
就労移行支援に興味をもたれた際は、マイ・スタイルへお気軽にご相談ください。
経験豊かな専門スタッフが丁寧に対応いたします。
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